社長を支える秘書講座
越権行為と補佐の忌避
『線引きはできていますか?』
秘書は上司の性格や人柄を踏まえ、上司の意向に沿う補佐をしなければなりません。しかし気遣いは大変重要ですが、行き過ぎて越権行為(許されている権限の範囲を超えたことを行うこと)にならないようにしなければなりません。
また、「越権行為をしないように・・・」と思うばかりに、誤った気遣いをして結果的に補佐を忌避していた、ということもあります。あなたは相手にとって「必要な補佐」が明確に区別できていますか?
『行ってはいけないこと』
秘書は上司の機能や役割を代行することはできません。代行できるのは、雑務に関することだけです。以下の行為は越権行為となりますので気を付けましょう。
1)上司の代理として各種行事に参加する。2)決裁書、稟議書に押印する。3)上司に代わって取引先などと面談する。4)上司に無断でスケジュールを変更したり、面会予約を受ける。5)上司の部下に指示をする。6)上司に無断で会合などの案内の出欠を決める。7)取引先への贈答を秘書の名前でする。
特に、急ぎで出欠の回答を要求された時など「いつも〇〇しているから〇〇だろう」という判断で相手に返事をしたくなってしまいますが、これは誤った気遣いとなりますので注意しましょう。
『行わなければならないこと』
同じ気遣いでも以下のような行動は、補佐を忌避していることになります。例えば、上司が不在の時、機密文書を持ってきた他部署の人に、上司に直接渡した方がよいので帰社したら持ってくるようお願いしたり、急ぎの仕事を指示された際、「間に合わなかったらどうするか」と確認することも補佐の忌避となります。
機密文書でも、秘書が責任を持って管理することが必要ですし、間に合わないと思われる指示に対しては「間に合わせるにはどうするか」をまず考え、明らかに難しい時には上司に「他の人の力を借りてよいか」などと確認するようにしましょう。